2022年10月6日に、欧州統一特許裁判所(Unified Patent Court、以下UPC)が欧州単一効特許(Unitary Patent、以下UP)の運用開始ロードマップを発表しました。
https://www.unified-patent-court.org/sites/default/files/upc_-_exco_-_upc_external_roadmap-v0.9_edit.pdf
10月中に判事の採用とpresident(長官)選出を行い、2022年12月下旬にドイツが批准手続きを完了すると、2023年4月1日からUP/UPC制度が始まる見込みと記載されております。
UP/UPC制度運用開始後は、欧州特許出願人は、欧州特許庁(EPO)に単一効申請(Request for Unitary Effect)を行うことで、UP参加国において一括して有効な特許を取得できます。
現時点でUPC協定批准国は以下の17カ国です。
AT(オーストリア)、BE(ベルギー)、BG(ブルガリア)、DK(デンマーク)、EE(エストニア)、FI(フィンランド)、FR(フランス)、DE(ドイツ)、IT(イタリア)、LT(リトアニア)、LV(ラトビア)、LU(ルクセンブルク)、MT(マルタ)、NL(オランダ)、PT(ポルトガル)、SE(スウェーデン)、SI(スロベニア)
UP/UPC運用開始前に欧州特許出願が欧州特許として登録されますと、単一効申請はできませんが、EPOが設けるサンライズ期間中(2023年1月1日から2023年3月31日)は、経過措置(transitional measures)として、以下の2種類の対応が可能となります。
https://www.epo.org/applying/european/guide-up/html/e/uppg_trans.html
対応1:UP/UPC運用開始前に、単一効特許の早期申請(Early Request)を行う。
対応2:Rule 71(3)EPC通知(特許許可予告通知)応答時に、許可決定通知発行の遅延(delay)請求を行う。
*欧州統一特許裁判所は、化学・ライフサイエンス分野(IPCクラスA及びC)案件を審理する中央部支所(設置都市未定)、機械分野(IPCクラスF)案件を審理するするミュンヘン中央部支所、その他の技術分野(IT等)案件を審理するパリ中央部、複数の地方部、及び地域支部からなる第一審裁判所、並びにルクセンブルクの控訴審裁判所で構成される予定です。
*UPC運用開始後の一定期間(UPC協定発行後7年間、延長された場合は14年間)は、UPC裁判管轄からのOpt-out (オプトアウト、適用除外)を申請できます。
所定の条件を満たせば一度に限りオプトアウト申請を撤回(withdraw)できますが、2度目のオプトアウト申請はできません。